…バイアグラの伝説

anesti2013-03-23

バイアグラ飲んで鳴きたいホトトギス

バイアグラ
イヒヒヒヒヒ〜…。へんなことをご期待の諸兄には誠に申し訳ございません。これから始まる話は小生のバイアグラ体験レポートとかではございません。小生、バイアグラなんて薬、聞いたことはあっても見たことはありません。まして使ったことなど…。大体において、バイアグラとは錠剤なのか、水薬なのか、はたまた注射か点滴か、皆目イメージすらできません。いやいや、その前に小生のアッチの悩みはむしろヘタにバイアグラなんかあると深まるような悩みなんです。なにしろ悩みは基地に格納されている我が超高性能スカッド・ミサイルに具体的な攻撃目標が…どうも話が生々しくなってきました。こんな話からは早く目を逸らしましょう。
それにしてもバイアグラ!名前そのものの響きが物凄いではありませんか。その意味は知りませんが、とにかく恐ろしく効きそうな感じがします。カタカナで濁音でしかも昔の音声学でいう「爆発音」の濁音です。もう音だけでその強烈さが嫌な上にもガンガン、バリバリ伝わってきます。この濁音、確かに日本人には激烈な印象を与えます。呉 智英氏も指摘しているように怪獣の名前には濁音が似合います。ゴジラガメラキングギドラ!少しマイナーですが河童の怪獣ガッパに宇宙怪獣ギララ…。もちろん例外にモスラなんて大御所もいますが、これはご愛嬌にて…。この民族独自の音声感覚、これは侮れません。たとえばキャサリンとかスザンヌ(ザは爆発音でなく摩擦音)ナンシー、マリーなんて名前を聞いたら男子はドキドキですが、あちらでは普通にあるデボラなんて、たとえ本人さんが超美少女だったとしても、何も知らない中学生の男子あたりなら、その名前を聞いただけで一瞬腰が引けてしまうかも知れません。。
 この音の好みは漢語にも反映されている節があります。たとえば「ゆ」と「せ」の対応関係なんて怪しい感じがします。和語の「ゆるす」と「せめる」の対応です。「余裕」「悠々」「融通」「融和」とかいう言葉は全体的に何か「ゆったり」した語感が伴います。一方「責任」、「切迫」、「制裁」なんかには、それとは逆の響きがあります。もちろんこれは法則というより感覚的傾向の問題です。しかしそれも無視するには惜しい何者かが潜んでいるように予感されます。険悪とか、警戒とか警察権力とか、そういう響きには特定の感情を喚起するある種の力がありそうです。
 実際にそういう可能性の探求を試みた国学者が「一行一意説」なる理論を提案したこともありました。また明治以降になって神道系の神秘主義者たちの間で盛んに研究された「大日本言霊学」もイロハ48文字固有の音感の解析を出発点にしていたのです。ちなみに言霊学では「ら行」は濁音に分類されていました。どうやら古代日本語では「ら行」の音は濁音と同じく単語の頭には現れなかったことからそうなったかと考えられます。
 日本人とは対照的にモンゴル人にとってはゴジラガメラ系の濁音には良い響きがあるらしく、女の子の名前にもゲレル、ドルマー、ダリー、デルゲルなんて名前が定番になっているようです。もちろん他にもサラーとかアリオナとかいう名前もありますか、やはり日本人とは音の好みが違います。20世紀初頭のドイツでは詩における音声的効果に人類共通の法則があるとの説が唱えられたりしましたが、ロシアのフォルマリストたちの一部は早くからその説を批判していて、むしろ民族独自の音声感覚の存在を論じていたようです。
ところでバイアグラ、初めからアッチの薬ではなかったという噂があります。その噂によるとバイアグラとは心臓の鞭撻療法か何かに使う薬だったらしいのですが、手術中にあの薬を使うとオジイサンの患者のアレが…という噂が医師たちの間に広まったのがキッカケでアッチの薬へと転用されることになったとか…。だとするとバイアグラの効能は元々副作用だったという話になります。どうも生々しい話に流れます。