…同志!

anesti2013-03-26

鳴かないと他のが鳴くぞホトトギス
 知らない人に声をかけるとき、江戸時代なら「もし!」なんてのがありました。少し前なら「ちょっとお兄さん」「そこのお母さん」なんて言っていました。酷い場合は「ねぇ、そこの赤い人!」。赤いといっても飲んでグルグルの人ではありません。赤いのは服の色なんです。まあ乱暴な話もあるもんです。例えばこんなん教会のなかでやったらシャレになりません。一部のキリスト教会のなかでは名前が判らない信者仲間を兄弟とか姉妹とか呼んでいます。これと同様にかつての社会主義国では知らない人を同志!と呼んでいました。中国大陸でも80年代くらいまではそんな感じが残っていましたが、次第に台湾式の丁寧な呼び掛けが流行り、いつしか「よう、兄弟」みたいになって、そのうち「やい、そこの背の低いの!」的な景色になってしまいました。もっとも中国南部の広東省あたりでは商売人が道行く男性客に「ロオプン=社長!」なんて呼び掛けていましたが…。あの国には今や同志もいないのですね。
。そんなワケですが、日本国内でこんな看板を見つけたんです。看板には「女性同志でどうぞ」と書いてあります。おそらく「女性同士で」ということなんでしょうが、思わず社会主義社会の残り香漂うある国での不思議な日々をを思い出してしまいました。細かいことが気になって色々なことを考えてしまう、小生の悪い癖です!それにしても「女性同志」!なんとも言えない響きです。大正時代の職業婦人とか、昭和初期のモダンガアルとか…そんな類いの颯爽(さっそー)とした女性像の感覚がそこにはあります。
 日本にも一時期ですが、本当に日本の国が社会主義化すると本気で信じていた人も相当いたようです。もしあんな幻想が現実になっていたら、本当に「女性同志もお気軽に!」なんて看板が街に出ていたかも知れません。結局の話、日本には社会主義国家は樹立できませんでした。しかも元々あった国家社会主義的な要素も橋本政権下の金融ビッグバ〜〜〜ンの時代辺りから急激に消えていってしまったのです。
 社会主義は置いておいて、幸いにも小生、同志と呼べる仲間には不自由していません。しかし振り返ってみると確かに女性同志というのは身近にいませんねぇ。