…聖地巡礼:小田原名物「ギョサン」!

どうせなら聖地で鳴こうホトトギス


 小生の暮らす場所はユートピアでもないし極楽でもありませんが間違いなく聖地だと思っております。お気に入りの場所や普段の立ち回り先も小生にとっては同じく聖地です。昨日は具合の悪くなり挙動不審のケーテァーを手に、聖地巡礼を思い立ち聖地・小田原に出掛けました。小田原では最近話題の「ギョサン」を求めて旅人どころか地元民 さえも足を運ぶこと少なき旧幸町あたりに参りました。ギョサン!それはおそらく漁港サンダルの略と見られます。色とりどりの蛍光色は海辺の小都市のノンキな風のような情調を伝えます。
 小生、迷わずマッキッキーな大きめサイズ(750円)のを選びました。買い物で気分ウハウハになったのは久しぶりでした。
 ギョサンのお店は旧郵便局(本局)の向かいあたりで、その目印は、周囲の殺風景な?いや落ち着いた色合いの視界を押し破る「ギョサン」というドデカ巨大文字と、それ自体が人の注意力をグイグイと吸い寄せるハデハデなカラーサンダルです。
 お金を払うとき、ナゼか店の人が「うちの店、すぐ見つかりましたか?」と訊ねてきました。たしかにこのギョサンのお店の強烈な景色、空間の歪みを形成していて、その前を通れば誰でも歩く速度が落ちます。「いやあ、なかなかこの場所が見つからなくて…」。お店の人は少し寂しい感じです。それで「近くまで来たらイッパツで判りましたよ!」と小生が付け加えると、表情までドカーンと明るくなります。確かにこのお店、見つかりにくいのに、見つかりやすい、不可思議なお店でした。
 小田原は名古屋同様に今でもお話できる店が多いのです。小田原には何となく薄暗い感じの店が多いのです。ギョサンのお店もそんな感じです。しかしこれが昭和どころか大正の情緒を漂わせていて、いい気分です。
 帰りに少なくとも旧大工町あたりを通って行きました。たった数ヶ月の間に、ずっとこの場所にあって、このあたり独特の空気を作ってくれていたお馴染みのお店が何軒も姿を消して、そこにポッカリと現れた空所は芸のない駐車場に成り果てていました。色々感傷的になってしまいました。十字路のアールデコビルヂング、大きな硝子をはった扉、セメントの車止め…少しずつこの街から退場してゆくのです。
 それにしてもギョサンの履き心地は上々です。