珍案:苦肉の超コンパクト観想

身体感覚や姿勢の微妙な工夫で密教の観想が深まるのが解ってきた。また始めに悟りと法界利益を願うことの大切さも確認した。でも何だカンだ言って修法は複雑で往生する。正直に言って作法に気を取られると精神集中どころぢゃなくなる。さりとて阿字観や月輪観は簡単に見える割には手応えが掴みにくいというのが本音だ。んなら略作法で行こうとしても何か手を抜いているような変な後ろめたさが追いかけてくる。そんなん言わんで素直に繰り返し繰り返しカラダに叩き込むんやわぁと叱られちゃう。でも出来れば余計なことなど気にしないで深い境地を体感したい。んな気持ちで工夫を重ねていった挙句に引っ張り出してきたのが数年前に考案したきり放っておいた珍案の超コンパクト観想。とにかくシャワーと湯気と風のイメージで身体感覚だけを観念誘導するという乱暴な方法。ツボとしては観念しては意識を放置するのを繰り返すだけ。こんな骨組みだけの方法でも改めて実験してみたら効果は満点で一挙に至福の世界を作り出せる。別の瞑想の準備運動にも使えるので勢いで禅や観に入るのも自由。もちろん正しい密教の作法に入れば臨場感や没入感が凄い。ついでに元か
ら独立して行えるんで場所や時間を問わず練習できる。威力は天下の自律訓練法様にも劣らないみたいだぞ。ということで身体感覚のイメージだけで仏様の世界に入ってみよう。実際に超感覚的世界へ移行する前にリアルな準備体操で身体の歪みを確認し解除する。ハタヨガやストレッチも有効か。まず通常の心とカラダに定着した構えを解除するために仏様の大きな光のシャワーを浴びるよう観念する。すると光の中でカラダが粉々に解体し液体化してゆく。次いでカラダの内部から暖かい湯気が炎のように広がり全身を包むよう観念しながら新しいカラダが形成される感覚を誘導する。すると全身の感覚が自然に変化しはじめる。続いて観念によって世界全体に微風が吹いている感覚を作り出し意識を宇宙全体に広げてゆく。実感としては周囲にある無数の風鈴や木の葉が一斉に揺れる感じか。ここで仏教徒なら無数の仏様の心と自分自身の心とが共振した一体化した気持ちを作りたい。後は自然にドライブ感や浮遊感が現れてくるのを体験する。強い意欲みたいなものが湧いてくることもある。ここが修法のクライマックスだから没入したいだけ没入する。このときオプションとして修
行者に必要な人徳と能力が生まれる よう誘導すると気持ちいい。ここまで来たら準備運動は終わりに向かう。まず感覚をカラダの中に収め再び仏様の光のシャワーで現実世界に戻る。この過程は一見すると極度に複雑だがイメージするのはシャワーによる解体と湯気/炎による変容と風による共振だけだから思ったよりシンプルになっているし実際には最短で一分以内で終わる。そうは言っても観念だけで身体感覚を誘導するのは意外に難しい。そこで方便として未体験の境地について色々自問自答するだけでも相応の体感が出てくる。確かに疑問は想像力を動かし想像から答えが現れてくるようだ。こうして観念てきたら後は意識を必要以上に操作せず自然な流れに任せよう。さあ準備運動が出来たら今日も法界利益と無上菩提のために略作法に入りましょー。