七転八倒!それは地獄の一夜だった

今朝は軽い目眩がしてドタマの芯がビンビン響く。耳もプールで水が入ったときみたいになっている。みぞうちあたりにも少し痛みが残っている。これは紛れもなく昨日の夜に経験し地獄のような数時間の確かな爪痕なのだ。でも残念ながら二日酔いぢゃない。思えば昨夜は六時ころから喉のあたりが変だった。しかし風邪ぢゃないことは解っていた。不調の原因には確かな心当たりがあったからだ。それは昨日の夕刻に干し豆を水に浸けようとしたとき間違って鍋に入ってしまった脱酸素剤のせいに違いなかった。しかし十時ころになって尋常ぢゃなく激しい腹痛と下痢の症状に襲われはじめたころから犯人は脱酸素剤ぢゃないと気付きだす。なんせ鍋に入った脱酸素剤エージレスの成分は鉄粉やら色素やらで基本的に万が一食っても大丈夫なはず。んで事ここに及んで初めて色んなことを思いだした。そうだ水で充分に軟らかくなった干し豆を生のまま食ってみたことを。そして未加熱の白インゲン豆にはレクチンが含まれていることを。さらにレクチンは猛毒で激しい腹痛などの中毒症状をを起こすことを。しかし本なんかに軽く書いてあるある腹痛とか下痢とか中毒症状とかいう言葉
を嘗めてました。嘗めきってました。時に言葉は軽く受け止められてしまう。だから腹痛なんて言葉からは自分経験している七転八倒の地獄なーんて普段は全く思い浮かばなかった。やがて腹痛に加え嫌な感じの頭痛やら立ってられないほどの目眩やら経験したことのない聴覚の減退やら全身を襲う痙攣やら激烈な寒気やらが次々に。いわゆる七転八倒。これも人間が言葉でイメージできるのは誰かが苦悶の表情で息も絶え絶えにノタウチ回る光景だけだ。しかし内部から体験する七転八倒は苦痛のせいで体を一定の形に保っていられないために少しでも楽な姿勢や場所を動物的に探しまわるという極限的な状態だった。こうゆうのが続くなかで吐くわ下すわしながらノタウチ回るというのをオールナイトで繰り返す。最後の方ぢゃあ下痢というより放水みたいになって生体内の水分と体力が物凄い勢いで流出していくのが体で判った。寒気と痙攣から脱出したさに素っ裸になった。なのに部屋の寒さを微塵も感じなくなち。こりゃヤバいぞと熱めの風呂に入って体力の温存を謀ったら不思議に楽になりはじめた。ここからは体の自由が利かない状態で風呂と便所の終わりなき往復が朝まで続
いた。そして朝になって冷たい床の上で全裸のまんま意識を取り戻した。昨夜は寒気と寒さの区別がなくなって寒さを全く感じなくなったのも不思議だったが目覚めた後に体が何事もなかったように軽いのが余計に不思議だ。それにしても昨夜は地獄を巡りながら色んな勉強もできたし多くの教訓も与えられた。食材の中には扱い方を間違えると命取りになるものがある。特に身近な食材を無用心に嘗めてはいけない。そうだ嘗めてはいけない。ましてや食うなんて