危険だらけの初練習

正月は3日も4日も日没後に型の総復習を行った。もう練習後から体が軽いわ寒さは感じないわ。ただし今年は基本の構えや運足や体さばきの練習は控えた。外での型練習は危険だから用心する。なんせ誰か見てるか解らない。別に門外不出な秘伝型があるんぢゃないし不意討ちが怖いワケでもない。怖いというのは通りすがりの人間に見られて勝手に通報でもされたら嫌だからだ。かつて東京で同じ流儀の人が夜間に構えや運足の練習をしていたら付近の住人に通報されたことがあったが今の世の中は当時より余計に息苦しくなっている。去年の11月末だったか大阪の公園で鎖鎌を振り回していた男が逮捕されるという騒ぎがあった。逮捕された人物の事情が想像できるだけに可哀想でならない。ニュースが伝える通りなら公園で男が鎖鎌を振り回していたということになるから状況は尋常ぢゃないかも知れないが本当のところは単に男性が公園で鎖鎌を振り回して稽古してただけなんだろうと思う。当方にして見ると公園で鎖鎌の練習をしている人間よりも少し不愉快だったり不可解だったりする何かがあると黙って警察に通報されちゃうよな世の中の方が異様に感じられる。
そりゃ見たのが鎖鎌なんだからら通報者の気持ちは理解できるけど一般論として言えば世間にゃ自分の無教養や無知を棚に上げて日本のマイナーな伝統文化を安易に異物扱いする輩が増殖しているのも事実だ。ホントは不可解なものには警戒心より好奇心が燃え上がるくらいな方が健康的だと思う。日本の武芸18般の中にゃ馬術や砲術のように簡単には練習できない種目もあるとは思うが鎖鎌だって由緒正しい伝統芸の一つなんだし出来れば茶道の野点観世流薪能みたいに大目に見といてはもらえないものか。無教養人だらけの世の中ぢゃ鎖鎌みたいにカネの匂いを全く伴わない伝統文化の肩身は今後も日に日に狭くなってゆくばかりなのか。
そういえば今や通報天国の日本ぢゃ刑事の張り込みも大変なんだそうな。なにしろ目付きの悪い男が暗がりや物陰から何かの様子を窺ってるのだ。見たら確かに通報したくなるし通報されたら確かに警察も放置しちゃおけない。