シュレディンガーの人待ちネコ

anesti2013-02-13

防音の部屋で絶叫ホトトギス!!!
 Facebookは変な世界です。恩師と連絡とるにも友達にならないといけません。敬愛する人の書き込みや写真に対して敬意を示すにも「いいね」としか言えません。仲が良い=ナレナレシイなんて思い付くのはアメリカ帝国主義の造り出したお伽噺だと思います。ちなみに韓国語の「いいね」は「チョアヨ」という比較的丁寧な言い方で、とくに遊び友達同士専用のナレナレシイ表現ではありません。
 「今どんな気持ち?」というのも気に障ります。そんなん訊かれても簡単には言えまへんがな。しかし今日あたり「今どんな気持ち?」と訊かれたら、即座に「シュレディンガーのネコ」みたいな気分です」と迷わず答えたいです。それがどんな気分かはまた後で…。
シュレディンガーのネコといえばパブロフの犬、考えるとパブロフの犬ってのは妙な言葉です。パフロフの犬といっても、どうもパブロフ博士の愛犬のことを指している言葉ではなさそうです。まさか「イワンのバカ」式の悪口で「パブロフの犬!」と誰かが言った話もなさそうです。まあ博士が実際に愛犬のポチとかジョンを条件反射の動物実験に使っていたかも知れませんが、そんな証拠もありません。少しでも科学に興味をもっていた人だったら普通はパブロフの犬がそういう犬ではないことは解ります。その犬は愛犬でなくてもパブロフの実験に協力してくれた犬だったことは間違いないとは思えますが。パブロフの研究室にいた犬だけがそう呼ばれるのではないのですから、この言葉は結局は最後まで不可解です。こうした言葉は他にもあります。フレミングの左手、コロンブスの卵、ついでにアルキメデスのチョウチン…。そして極めつけのシュレディンガーのネコ。
 シュレディンガー氏はネコを使った実験を行ったワケではありません。フレミングは例の指を3本立てた左手を示して電気と磁力と運動エネルギーの流れる方向の違いを解説しました。シュレディンガー氏は特にネコを授業に連れてきたなんて聞いたことありません。実はシュレディンガーのネコといっても、そのネコには実体なんてないのです。なにしろこのネコは現代物理学に関する「思考実験」に登場するネコだからです。しかし、この思考実験というのが極度に残酷というか無慈悲というか、いくら思考実験に付き合わされた架空のネコでも可哀想になります。その実験に用意されるのは、放射性物質とネコと放射線や音を遮断する箱、そして放射線を受けると毒ガスが出る装置です。まず箱にネコと放射性物質と毒ガス装置を入れて蓋をします。実験の設定では、いつ放射性物質から放射線が飛び出すかは確率的に予測できないものと決まっています。つまり放射線が出るのが2秒後か1年後か判らないのです。さてそこから先は恐ろしいので具体的な経過は全てご想像にお任せします。この残酷な天使の方舟ですが、外から見ると中にいる可哀想なネコちゃんが生きているのか
死んでい
るのか確かめられません。箱を開けるま
でネコは言わば「生きていると同時に死んでいる」状態になります。変な話です。実はこの変な思考実験、シュレディンガー本人はナンセンスな話の例として持ち出したようなのです。「そんなアホな話があるかいな!」という心です。そういうことで私たちのネコちゃんは無事ということで一安心です。
そういえば忘れそうになっていました。シュレディンガーのネコみたいな気分とは何でしょう。実はここ数日、あるメールを待っています。ケータイ・メールではないので来ているかどうかも判りません。必ず来るとは決まっているのですが、何曜日の何時ごろかも未確定です。しかも内容次第では天国と地獄!これは完全にシュレディンガーのネコ状態です。メールを開くまでは天国にいると同時に地獄にいるワケです。しかし天国と地獄の間とは中国みたいな世界で落ち着きません。どうやら箱のなかは地獄の気分は濃厚に漂いますが天国の気分は全くない世界のようです。
このスリル、何か遠い昔にどこかで経験しています。そうです。これも思春期の経験、恋愛初期のあの感覚です。毎日毎日、あの子に嫌われるんやないやろか…なんて苦しんで暮らしていましたっけ。初めて電話なんかかけたときのあの不安定な意識状態。そうすると大体の人はシュレディンガーのネコの気持ちをある程度共有していると想定できそうです。思えば当時からモテない身だった小生としてはあれはあれで苦しかったですねぇ。
 でも、なんでネコなんですか?ウサギじゃダメなんですか?