シュレディンガーの負けネコ?

anesti2013-05-17

ネコだけが知る真夜中のホトトギス


 ネコたちが出てきそうな季節になりました。
 ちょっと前までシュレディンガーのネコ状態だった小生でしたが、少しはラクになった気が致します。長いこと待っていたある筋からのメールが待っても待っても来ないので、その話は白紙に戻して頂くようメールを送ったのです。ついにシュレディンガーのネコも恐ろしい実験箱から出られることになったのです![anestiの日記:「シュレディンガーの人待ちネコ」の項を参照のこと]。実験ネコが箱から出てみたら、なんと完全にチカラの抜けたヘナヘナ、ヘコヘコな負けネコに変わってしまいました。なお、そのお断りのお願いに対する返事のメールは今なお届いていません。往生こいております。
 沈丁花の匂いが生暖かい風に乗って町を流れて歩く頃なんかには、暗い広場の真ん中あたりでネコどもが派手に喧嘩しているのを見かけたりします。今週火曜日の宵、例外的に飲みに出た店の裏の駐車場でネコが戦っていました。
 イヌ同様にネコもよく喧嘩をするのです。しかし負けイヌという言葉はあるのに負けネコという言葉は聞いたことがありません。まあこれは化けネコはあっても化けイヌがないというのと同じような話なのでしょうか。
 負けイヌというのはイメージ的に非常に惨めな感じですが、実際に喧嘩に負けたイヌの姿というのは本当に情けない景色になります。一方のネコは喧嘩に負けて傷だらけになっても何となく優雅に見えます。ネコというのは歩いても、水を飲んでも、寝転んでいても優雅です。何かにつけて優雅なんです。敗退して傷だらけになったネコは、どう言えばいいのか、何事もなかったかのように歩き出し、その場を退場してゆくのですが、その様子が妙に堂々と、そして同時に飄々としていて、あたかも激闘の末に強敵を倒した勝利者の風采を漂わせてさえいるのです。この風采は実際の勝利者も同じで、いかにも「勝ったぞー」的なアピールを見せないのです
 あるいは動物行動学者の目にはネコの勝利のポーズや「どや顔」といわれる表情がキャッチされているのかも知れませんが、とにかく普通に見ているだけなら、ネコはみんな勝者のように堂々した姿に見えるのです。。 我が生家には二匹のネコが飼われておりますが、一匹は人間様と遊ぶのが非常に好きで、後ろから近づくと手に向けて振り向き様の超高速のネコパンチを入れてきます。ある日、色々な動きでネコパンチを避けるべく試してみると、前後、左右、上下、斜めを問わず直線的な動きま全てキャッチされてしまいます。しかも曲線でも平面的な動きは簡単には見抜かれて捕捉されます。ところが立体的な螺旋を描いて顔の前で手を動かしてみると、今度は全く捕捉されませんでした。それどころか、人間様のノンキなパンチさえもが自在にネコに入っていくのです。その時のネコの本気な顔の物凄いこと!結局負けを悟ったネコは、それで退場してゆくのですが、やはり勝者の優雅さで帰ってゆくのでした。
 考えてみると、人間界には負けても強がるヤカラが結構います。ナゼかこうゆうお目出度い連中というのは勝ったとなると今度は勝利を大袈裟にアピールしたがります。しかしそういう勝利者って確かに負けイヌ並みに滑稽で幼稚でカッコ悪い感じがします。大体においてバカみたいに見えます。しかも!こうゆう手合いがアピールするのは勝利の喜びではなくて、自分の凄さや頭の良さだったりするから不愉快です。要するに自慢話がしたいのです。
 今後も人生に勝利することは少ない予感の小生です。しかしネコに見習って勝ったときも、負けたときも飄々と楽しげにしていたいと願います。



[補足]:ネコやイヌで色々と実験したところ、相手に威力的に制圧された場合より自らの攻撃が全て回避されてしまう場合の方が戦闘意欲をなくしやすいようです。