…入場無料・極楽浄土

anesti2013-05-30

ウグイスが帰れば天下ホトトギス!/鳴かぬなら想像しようホトトギス/今月も修行中ですホトトギス


 念願の明恵上人遺訓を読みましたが期待していたより面白くもない内容でした。当時の仏教界の堕落ぶりや明恵上人ご本人の本気な感じはビシビシ伝わって来ますが、何となくそれだけの話でした。しかし、今の大学やアカデミック業界や学者の世界を見ていると明恵上人のお嘆きが自分のことのように体験できた気がしました。またまた「おい、そこにいる明恵上人!お前はオレか?!」と思わず小声で絶叫したくなります。曰く:「この頃のボーズって色々知識はあるんだけど、自分がやってるのが何なのか全然解ってないよね!」「お寺ってさあ、サラリーマンするとこじゃないんだけど…」「他人を言い負かすのが生き甲斐みたいになってるヤツって結構いるよね!」(明恵)。お嘆き解ります。一人じゃないって素敵なことです。気持ちがラクになります。
 さてさて、今の学者や昔のボーズがセコセコ小利を追い回したり、自分を利口に見せようと工夫したりしている間に、麗しい5月は毎年必ず巡ってきます。そして気づけばアジサイの6月も目の前です。
 いつも5月というのは結構な景色です。植物界の緑は鮮やかに瑞々しく、風はジャスミン沈丁花とミカンの花の香りであります。山ではホトトギスと百霊鳥(外来種)、草地では日本の国鳥なるキジの声が聞こえます。この短い時期だけは阿弥陀経に出ている極楽浄土や華厳経に描かれている華蔵世界なんかをリアルに想像できそうです。せっかく目の前に現れた浄土です。そこに身を置いたときのリアルな臨場感を心に刻み込むことにします。どうせ自分がる現実の世界のなかで意識していることの八割くらいは過去の記憶と未来についての想像の産物です。それは白昼夢のようなもんです。わざわざ自分からマイナスのイメージなんか心に抱かなくても、現実の厄介事は向こうから訪ねてきます。リアルな現実には正しく向き合うとして、心を支配する白昼夢の領域には、不満や不安にと結び付いたイメージばかりをストックするのは損です。せっかくですからホトトギスが鳴きミカン&ジャスミンの咲くネコ天国でも作って楽しく過ごしたいもんです。
 そうそう、明恵上人はインドへ行きたかったものの、その夢は全く実現できず、京都栂尾の山や小川で座禅しながらナンチャッテ印度旅行をやっていたのでした。そんな明恵上人は常に「リアルに、リアルに想像すること」を勧めていました。大体において阿弥陀浄土へ行く方法だって元々は念仏よりもリアルな想像の方が中心だったし…、小生も自分好みの華蔵世界をリアルにイメージしながら、良い日も悪い日も楽しく妄想して参りたい所存です。そんな気になる5月でありました。
 [日蓮さま曰く:あなたもホントは仏さま、この世もホントは極楽な世界!]