府中のスナックにギター浪人?

anesti2013-10-01

先週水曜の馬鹿飲みの後に勢い余ってカラオケに行こうという流れになりました。かつて入った覚えのある田舎のオバチャンがやってるようなスナックに行くと、景色もお客もカウンターのなかの人も完全に変わっていました。思えば我々三人連れというのは嫌なお客としか言えません。隅のボックス席に陣取って、とにかく世間の人はゼッタイ歌いそうもないマニアックな歌ばかりさんざん歌いまくるんですから。それだけでも十分に嫌なお客なんですが、その夜は運が悪かった!そうとしか思えない夜だったんです。いよいよ気合いが入って来たころ、カウンターのお客がジャラジャラとギターを弾きはじめました。それも相当ウマイんです。あっ、ギターだあ。普段なら小生だって知らないフリをする余裕もあったんですが、恐ろしいのはお酒の魔力。その夜は不思議にギターが弾きたい気持ちが抑えられません。そこでついつい「あの〜、ギター…後で少しだけ触らせて頂いていい…です…か…」と言ってしまいました。まるで食い物を前にした食い詰め浪人さながらの情けなさであります。それが余りに可哀想に見えたものか、お店の御姉さんがギターを席まで持ってきてくれまし
た。飢えた浪人はギターに飛び付き「千と千尋」だ、「帰ってきた酔っ払い」だ、「カチューシャ」だ…、まあ弾いたわ弾いたわ!弾きながら「こりゃギターの兄さんの気分を損ねたか…それどころか店の空気を一挙に破壊したか…」とか不安と後悔の念に怯えながらも、ニセ名古屋弁でミャアミャア喋り倒しておりました。しかし奇跡か、気づけば店全体が完全にブラボー状態でギターの兄さんも大喜び、最後は奥の席にいたニセ大阪姉さんも参戦して大阪弁名古屋弁の馬鹿ダイアローグへと雪崩れ込んで行きました。こうして突如として現れた謎のイチゲン客は、ニセ大阪姉さんの「なんで帰るねんなあ!」の声に送られて、何処へともなく去って行くのでした。久しぶりにいい感じの外飲みでした。これまで仲間内ではウケたり笑いを取ったりの結構な気持ちいい経験も確かにありましたが、いきなり知らないお客の前で弾いても受ける場合があり得るのか!と初めて知ると変な心境になりました。その夜そこで何が起こったのか、何がお客の心を掴んたのか不可解、ただ不可解であります。アルコールの積極的な作用の為せる業というしかありません。それにしてもホントに普段の
小生は情けない限りです。徹底的に飲んで馬鹿会話を極めないでいると、もう面白いことなんて一つも思い着きません。そう、気持ちは常に「ネタを下さい!何でもいいんです!何か笑いが取れるネタを!」なんです。あの「外套」や「鼻」の作者であるゴーゴリが某友人に宛てた手紙に刻まれた切々とした思い、とても他人の話じゃございません。