恐怖の呪文

このごろ時間の研究やら医学史の勉強なんかの絡みで西洋魔術について調べなおしています。魔術を身体感覚制御の技法として考えたらベラボーに面白くなってきました。中世の魔女術から現代のシュタイナー芸術論に至るまで、魔術の系譜には身体の内部感覚が重要な意味をもっています。しかし小生も小さいころには「まんが映画」でサリーちゃんやハクション大魔王なんかを見ていたんです。魔法の実像が少しだけ描けてきた小生ですが、やはり今でもクシャミひとつで魔神が出てくる!呪文ひとつで願いが叶う!それが魔術や魔法の定番のイメージです。アニメならまだしも、そんなこと現実にはあり得ないだろう。というのが大方の現代人の健全な見方と言えます。しかし現在も魔術結社は存在しています。そして魔法使いというのも本当に存在しているようです。実は小生、魔術について考察しているうちに幸か不幸か恐ろしい黒魔術の呪文を見つけてしまいました。もし言い負かしたい相手がいたら、そいつに向かってその呪文を唱えると、相手は返す言葉を失い、即座に黙り込んでしまうという恐怖の呪文です。しかもこの呪文を常用していると周りの仲間が自分に合った人間だけ
に変わって来るのです。都合の良い話です。しかし効き目が強いものには相応の副作用があります。この魔法を使った人は何ヵ月かのうちに必ず下流社会の人間に変わってしまうでしょう。下流社会、それは低学歴、低収入の人の落ちる世界のことではありません。それは収入・学歴を問わず夢も希望もない住人ばかりが住む、不機嫌で退屈な暗黒の世界のことなんです。ホントに世にもオゾマシイ世界です。しかし考えてみたら最後に下流社会に落ちるなんて縁起でもない呪文など誰も唱えはしないでしょう。それでも好奇心や冒険心をもつ勇者なら一度は試してご覧になるのも面白いかと思います。その呪文、早速ご伝授したいのですが、その前に使用上の注意を確認しましょう。まず第一に、この呪文は相手の発言の直後に唱えます。そして唱えるときはため息混じりの小さな声でなければなりません。さあ、問題の呪文を覚えましょう。呪文は二つあります。もし相手が何かアイデアや予想について話したら「ムリデショー」、何かニュースを持ってきたら「アリエナイデショー」と唱えるのです。「デショー」の部分には特に軽蔑の感情を籠めましょう!この呪文、知ってる人は知っ
ていて、実際に下流社会では多くの人が毎日のように唱えているのです。さて参考までに、この魔法を避ける方法を一つ紹介いたします。もし誰かにそうゆう魔法を使われたら「まあやってみるわ」とか「あるんだなこれが」という呪文でで対応しましょう。ついでですが何かの間違いから下流社会に落ちてしまった人には、そこから脱出する秘法をお教えします。やることは4つだけ!常に相手には敬意をもって接すること、未来を信じること。自分の知らない世界を意識すること。疑問があったら自分で確かめることです。でもこりゃ魔法なんかじゃぁありませんねえ。