ミイラとクリスマスを!

クリスマスの夜、キリストの誕生を祝うために東方から三人の博士がやってきたというお話は、よくプロテスタント教会なんかのクリスマスで語られます。しかしカトリックなどの教会行事としては元々年明けのエピファニィに語られる出来事のようです。そうすると聖母マリアは一週間以上も例の汚い馬小屋にいたことになります。さてこのエピファニィの日に生まれたばかりのキリストを遠くから訪ねてきたのは、マギと言われる人たちで、実はバビロニア占星術博士だったらしいのです。このマギ、例えばゾロアスター教の聖職者などの呼称でもあり、当時は最先端にして最高レベルの知識と技術の担い手として理解されていたようです。つまりマギたちはユダヤ教キリスト教にとっては異教あるいは邪教ということになりますが、新井献氏も指摘するように少なくても新約聖書のマタイ伝福音書ではマギにはキリストの誕生を権威づける役割を与えられています。マギに対する尊敬は地中海世界では長いあいだ続いていて、おそらく3世紀に書かれたらしいプセウド・ノンノスの地中海旅行案内にもギリシャ天文学バビロニアから伝わったものだと明言しています。というこ
とでマギは物凄く偉い人だったワケで、キリスト教も一目置いていたという可能性があります。この人たちは遥か東方のバビロニアでキリストの誕生の場所と時間を占星術と古代文献に基づいて正確に予知し、大量のデラックスな贈り物も積み込んで、ベツレヘムという情けなくてダサい田舎町まで訪ねてきたのです。つまりマタイ伝では彼らの知識の高さを積極的に評価しているのです。彼らがもってきた贈り物が普通でないこともキリストの誕生の意味の大きさを表しています。黄金やら高級香料やら!しかもこのときの高級香料、モツヤクとニュウコウは黄金に勝るとも劣らぬ超高級品でした。ところでモツヤクは当時のエジプトでミイラの超高級防腐剤として利用されていました。それはラテン語でミルラと呼ばれ日本語のミイラの語源になりました。我が宮殿には少しばかりのミルラのサンプルがあります。本来エピファニィに届いたミルラですが、小生はクリスマスをミルラとともに過ごしています!あれれっ、こんな話、もう書いちゃったかも…。