腹が立つ心霊体験。怪しい自然現象

殺したら化けて来そうなホトトギス!。


 夏は怪談の季節です。お化け好きとしては毎年の夏が楽しみなんですが、最近の怪談には怪談などと呼べないものが多いので聞くと別の意味でムシズが走ります。
 なんたって近年テレビや本で怪談として語られるのは怪奇現象というよりは猟奇的幻影ばかりで、物語のなかで恐怖をもたらすのは血まみれの女とか壁から出る手とか苦悶に満ちた呻き声とか…。まあ要するに今や怪談は怖い話ではなく気持ち悪い話なのです。しかも「お化け」の所業からは幽霊らしい文学性はカケラもなく消え去り、むしろ人間を脅かす妖怪や魑魅魍魎やタヌキのお仕事に終始するばかりです。
 そもそもが大体の物語で「体験者」は初めから勝手に怖がったり警戒したり、その挙げ句に何者かがチラリと見えたってんで勝手に逃げ回るわビョーキになるわ。こんなん特にお化けの登場など必要ではなく体験談として少しも怖くないので、怖くない代わりに腹が立ちます。そうゆう怖くないお化けなら実はウチの宮殿にも出没するんです。10年くらい前、ここに越してきた当初からなんですが、1日に何度か部屋の襖が勝手にゴトゴトっゴトゴトっと数秒間くらい震えるんです。それから最近では窓際で「うーぅうーぅ」と寂しげな人声がハッキリ聞こえたりもします。しかし小生は恐怖体験の世界の住人ではないものですから、むしろ現象に近づいていくという方向に動きます。じっと現象に寄り添って見るに、おそらく襖の振動は近くを走る高速道路の高架から発せられる低周波の仕業で、かたや人声の方はってえと窓から入る風とカーテンのヒダとの間で起こる摩擦の結果と解釈できます。しかし不思議なことに、「寂しげな人声」は夏になると毎年のように聞こえるのに、あの襖の振動はナゼか今では止まってしまったことです。本が増えたせいとは思うのですが…どんなも
んでしょう。