咲かぬ華より悪の華

修道院では決められた祈りの時間には何を措いても祈りに向かうのが掟です。個人経営のマイ修道院をやっている小生の信仰生活は極めてインチキで自堕落なものですから、朝夕と真昼と寝起きの祈りを時々抜かしたりタイミングを逃したりすることは少なくありません。さて、それなのに毎週一度の儀式については珍しくも厳格に定めをまもっております。毎週日曜日の午後5時半。おそらくこの時間帯には小生は聖地にいて基本的に何があっても宮殿を離れないことになっています。もちろん電話にも一切出ません。日曜日に別の街にいたとしても遅くとも5時45分には宮殿に入れるように死ぬ気で動きます。5時半が近づくと恭しくテレビをつけ日テレにチャンネルを合わせ、儀式の開始を告げる音楽を静かに待ちます。♪ぱっぱらぱらぱら・ぱっぱっ!パフーッ!!っと、ホントに自分でも理解できないくらい徹底的に笑点を全てに優先してた生活が守られています。小生の好きな笑点メンバーは他でもない、日本全国に警備員付きのベッソーをもち、街という街に顔写真入りのポスターが貼られ、ギンナンと自販機があれば所嫌わず出没するという水色のカラー浴衣も鮮やかなる
三遊亭小遊三師匠、ついで悪の知性も燦然と輝くブラック団のボス、圓樂師匠。この二人から漂う悪の匂いが堪りません。この二人を見ていると華にも悪の華があり、それが実は普通の華なんかより遥かにゴージャスで美しいというのがツクヅク解ります。それに比べてビンクの人、なんとなく華というものが感じられない。そう思うのは自分だけ?かと思っていたら、世間にも同じ感想の人が案外に多いので驚きます。ヒドいときなんざぁ、あの華がない人ぁ誰だったっけ?とか、誰だか判らないけど一人だけ地味なのいるでしょ!なんて言う人たちまで出る始末。誰よりも敬虔な笑点信者たるエビの目から見ても確かにメンバーのなかではピンクの人だけ芸風も空気も違っていて妙に浮いてみえる。なんたって他のメンバーが全員バカバカしいのに一人で本格的にキレイな答えを出したりしている。しかもピンクの人だけキャラが不明なのも特殊な感じがする。紫の着物の黒いヤツ、黄色いバカに、オレンジ色のいオカマに白い独身に水色の超イケメンの小悪党!こう並べてみてもピンクの人は何が何だか見所が判らないのです。まあ最近になってカネと仕事がないキャラだったのかとボ
ンヤリと掴めてきましたが、いやまあ今ごろ判ってみても少し遅すぎるというもんです。しかし不思議です。ここまで華がない上に場合によっては名前(亭号)さえ覚えてもらえてない割りには立派に目立っている。華がなくても一人で宙に浮くと逆に浮き出て見えるというのも事実なのかとは思いますが、いやあ、やっぱり何でも印象に残ればいいというもんじゃございません。やっぱり華がある方がいいに決まってます。悪の華でも華は華。むしろ悪の華こそ真実の華かも知れないんです。そう悪こそが美しい!だって都会の路上を、電車のなかを、ネット上のコミュニティを見てごらんなさい。みんな怒った顔をして自分の正義を押しつけ合っているじゃないですか!?そのとき悪は闇に潜み不敵な笑みを浮かべているのです。うわっはっははっはぁ!