一人酒場で開運

酒場は鬱憤晴らしにゃ最適な場所だ。だから様々な人々が様々な鬱憤をもって酒場に集まってくる。もし地球人の鬱憤の種類や鬱憤晴らしの方法を把握したい宇宙人がいるならば迷わず酒場に行くべきだ!文学におけるポリフォニーの研究で知られるミハイル・バフチンは様々なイデオロギーが同等に交錯するドストエフスキーの作品世界を善人も悪人も奇人も変人もが集まるロシアの教会に譬えているが日本文学なら樋口一葉が描く子供の世界か。ここには全ての階級イデオロギーが同等に併存している。一葉の世界では子供たちのイデオロギーは大人になるにつれ同等でなくなってゆく!さて実際の今の日本でポリフォニーの世界に降れたいなら間違いなく教会よりも酒場だ。酒場では全てのイデオロギーが同等だ。しかし同等に無意味だ。これが酒場の真実だし社会そのものの真実だ。ただ酒場での鬱憤晴らしには幸福なのと不幸なのとがある。他人に損害を与えて気持ちよくなるヤツは自分も他人も幸せにしていない。これも酒場の真実だし普通の社会での真実だろう。せめて酒場では誰もがバッカスの神でいたい。それこそが幸せな鬱憤晴らしになるだろう。酒場を天国にならない
ことが多いかも知れないが錬獄にはなる。錬獄がダメなら開運道場にはなる。そこでは幸せな人と不幸せな人を見分ける訓練ができるし危機を察知し回避し脱出する技術も磨ける。そしてホンモノのチャンスを探す宝探しの場にもなる。是非とも酒場で人間を大きくし会うと得すると人々に言われるような客になりたい。