雪の断章

雪が街に溢れる様々な色彩を白一色に 変えてしった。夕方のテレビ・ニュースも雪の話題に覆われてしまった。それでも大砂嵐の事故と卓球の快挙とキタチョーの話題だけが雪には負けなかったのは不思議だった。雪は盛り場にも聖地にも隔てなく平等に降りかかる。しかし時間の経過とともに雪は人の営みの痕跡をリアルに映し出す。人々の足跡と車の軌跡が次第に増えはじめる。そこに地域の交通量の差がビジュアルに表現される。そして雪が路傍に集められると地域の思いや体力が視覚化される。今年の聖地の雪は東京の騒ぎを知らないのか朝のうちに消え始めていた。4年前の大雪の夜が明けると聖地は深い雪に覆われて全ての路地は布団のように厚い氷に閉ざされた。確かに住民の生活が少しの間だけ麻痺していた。これが雪ぢゃなく火山灰だったらとか自分でも予想できないような想像を巡らせた。こんな様子ぢゃ町外れにある孤島のような住宅街へ続く長い道は大変なことになっているかと予想して早朝から見に行ったら雪は見事に取り退けられていた。な〜んでか?なんでだろう!それはねぇ誰かが必死で除雪し
てくれたからか。いや実はモータリゼーションが異常に進んだ区域だったんで絶え間なく車が走って雪を溶かしていたのだった。この世は憶測を裏切る出来事が色々と起こる場所だ。