拍子抜けするほどマトモな立正安国論

先入観って怖い!立正安国論には国主に法華以外の仏教宗派の廃絶と法華宗の国教化という要求が書かれていると一般に考えられているし当方も日蓮教学を前提に読んでいたせいか全く疑うことなく世間のイメージに従っていた。しかし改めて読んでみたら日蓮様は安国論の中で特にワガママでシュールな主張なんか全然してないのだった。ホントに拍子抜けする。むしろ当時の良識あるズーボなら誰でも普通に言いそうな極めてマットーな批判だと感じた。まず禅・念仏・律・真言をボロカスに言う四個格言のイメージとは違って批判しているのは法然の浄土宗だけで批判の根拠も法然が経典の記述より自分の思い入れを優先させて釈迦如来の存在さえ無視した似非仏教を捏造したことだった[当時の超人気ズーボだった明恵上人も全く同じ嘆きを残していた]。そして国主に対する一番の要求も念仏の禁止と釈迦如来と諸仏への信仰の回復にあった。ちなみに安国論は宗祖39歳のときで四個格言が現れたのは宗祖50歳代の著作中である。どうでしょう。普通にマットーでしょ。この日蓮様の法華経の絶対尊重という主張は当時は絶大な権威をもっていた天台宗法華経を最
高経典としていた事情から見れば至極当然の帰着になったかと言える。しかも安国論では法華経以外の廃絶などではなく
諸仏への信仰の回復を求めている。うぅむマットーだ。ましてや仏教を標榜し
ながら日蓮様に闇討ちを仕掛けたり放火やどの嫌がらせをしたりした法然ファンたちと行動を考えると余計に日蓮様の主張がマイルドに見える。それにつけても恐ろしいのは先入観だ。安国論は自分で読んでいたはずなのにインプットされていた予備知識に惑わされ全く書いてないはずの内容を記憶してしまっていたとは。