もぉおお!現代型宗教ってぇえ

昨日の夕方は例の宗教勧誘野郎が急に訪ねてきて地方で開かれた大会のビデオを見に支部みたいなとこに行かないかと誘ってきた。よく考えるとノーと言ったら何度でも来られそうなんで相手の思うツボとは知りながらイエスと答えて車に乗った。ビデオは2時間半に及ぶ大規模な集会の様子をノーカウントで伝えるものだったが予想を裏切らず分かりやすすぎる大袈裟でエキセントリックでヒステリックな演出まみれの内容だった。思わず失笑しそうになるのは司会者の兄ちゃんのリキんだ感じの甲高い声が完全にキタチョーのアナウンサーだったからだ。しかも体験発表や活動報告や決意表明なんかのために次々に壇上に立つ人たちの感情豊かで感動的な喋りも同じく完璧にキタチョーの李春姫アナが40年の苦闘の末に会得した究極のアナウンス技そのものだった。当方は縁あって少しだけ朝鮮語を会するのでスピーチが特に意識せずとも自然に会場の雰囲気とキタチョーの空気感とが重なり合ってしまう。もう笑いを押さえるのが大変だった。発表や報告が終わるたびに巨大な会場を埋め尽くす膨大な参加者の姿が映されるのもキタチョーのアリラン祭りさながらで見方によっちゃあ
ナチス政策のオリンピック映画で駆使された素晴らしい技法の再現。なんと素晴らしい!しかも見事なキタチョー式演出だと解っていても日本語になっちゃうと不思議に感動的になり素直に心に入ってくるから恐ろしい。こんなん空気のド真ん中に置かれていて思うのは人民の意識を高揚させるキタチョーの演出技術の物凄さ。ニュースにせよ音楽にせよ映画にせよイベントにせよ実際に落ち込んだときなんざぁキタチョーの表現芸術のチカラでホントに立ち直たりするのだ。こうして平壌風な気分が盛り上りに盛り上がったところで例のキタチョー風な司会者がボスキャラの登場を高らかに宣言。この老齢の会長氏の声に張りのあること。確かに言葉には晴れ晴れとし感じが溢れているし雰囲気は朗らかだしトークも立て板に水で間の取り方も芸人並みに上手かった[音響は発表者のと変えてあったことも記憶しとこう]。政治情勢なんかの解説も実際には高校生レベルだが明晰でわかりやすい。ま何階な教用語や経典の一節なんかも盛り込むから利口そうにも見えるし一体感も高めてくる。もう言うことなし。みんな感動の演出とボスキャラのカリスマ性に間違いなくイチコロ
だ。そしてビデオ上映が終わると別室には参加主のた
めに談笑の場まで用意してある。でもねえ。残念だ。系統や触れ込みが異なっていても現代型の宗教は似たり寄ったりで人に与えるものといえば結局は感動の演出とパブリック・スピーキングと疑似コミュニティが作る一般的な効果だけだ。他人の成功例なんかを次々に聞かされると誰にも変な意欲が湧いてくるし誰かに朗らかな声で話をされると反射的に心が軽くなる。こんなん経験したいなら宗教の世話にならんで普段の仲間と遊べば済む。それどころか自分自身が他人に勇気を与え気持ちを軽くできる朗らかな人間になれば全てがOKだ。